歴史

 ちりめん細工は、江戸時代からの歴史をもつ伝統手芸です。

 ちりめんは細やかな「しぼ」のある優しく美しい絹織物で、300年ほど前の江戸時代から現代に至るまで日本の着物の材料として愛好されてきました。そのちりめんの小さな残り布を縫い合せて、花、鳥、動物、人形、玩具などを作ったのがちりめん細工です。大きさは手のひらにのるほどのものが多く、さらに大切なものを納める袋にもなっていて、飾ってよし、使ってよしの、日本の女性が生み出した、小さな可愛い芸術作品です。

 江戸時代の後半、当時の裕福な階層の女性の手から生まれ、何代もの女性の手で縫い継がれ、完成度を高めました。ちりめん細工は、ものを大切にする心や美的感覚を養い、手先の器用さを身につける手芸であり、日本女性の教養のひとつとして作り伝えられました。

 江戸から明治へと時代は変わっても益々盛んになり、明治から大正時代にかけて、続々とちりめん細工に関する文献が発行されました。ところが戦争による混乱や生活様式の変化のなかで、いつしか忘れられた存在になりました。



復興へ

 ちりめん細工は再びよみがえり、ブームといわれるまでになりました。しかし、当博物館の長年にわたる努力の積み重ねがなければ、今日のような状況は生まれなかったでしょう。

 じつは「ちりめん細工」という言葉も、今では市民権を得て当然のように使われていますが、その言葉を作ったのは当館の井上重義館長です。正式には「縮緬の裁縫お細工物」と言うべきですが、易しくわかりやすいようにと1990年頃から「ちりめん細工」という言葉を使い始め、それを出版物や放送で使ったために急速に定着したのです。

 井上館長は1963年から、忘れられ消え行く日本の郷土玩具を後世に伝えたいと収集のため日本各地を歩き始めましたが、その中でちりめん細工と出会い素晴らしさを知り、さらにちりめん細工のバイブルとも言える「裁縫おさいくもの」(明治42年・大倉書店刊)を入手しました。そして1986年の春に当館でちりめん細工展を開催したところ大反響があり、以来、新収集品や復元作品による展覧会を開催すると共に、ちりめん細工の講習会を開催するなどして、その伝承と普及に努めてきました。井上館長の「質の高い作品づくりがちりめん細工の評価を高める」との指導のもとに、当館に集ったちりめん細工愛好者が江戸や明治の文献資料や古作品を研究してちりめん細工の基礎を築きました。これまでに全国から大勢が参加.。花房昌古や内藤乃武子などもその一人でした。

伝承と普及のために

 ちりめん細工を伝承・普及するなかで、材料のちりめんの古布がブームの影響で高騰し、入手困難になるという問題がでてきました。ちりめん細工に古布が使われるのは、廃物利用という観点からだけでなく、伸縮性があり、風合いがあるからです。しかし、現在の着物用のちりめんは、伸縮性もなく、風合いもないことから、ちりめん細工の普及にはちりめん細工に適したちりめんの生産が必要と考えるようになりました。本場の織元と共同開発し、一年がかりで試行錯誤の結果、ちりめん細工に適した古布と変わらぬ風合いを持つちりめん(二越ちりめん)の再現に成功しました。

 現在、ちりめんの産地は不況の状況が続き、当館の活動は結果として、地場産業の振興にも少なからず寄与しています。

 伝統手芸を復興し、地場産業の振興に寄与した当館の活動は、日本ミュージアムマネージメント学会から評価をうけ、2000年3月4日、学習院大学での第5回記念大会で当館井上館長が第1回学会賞を受賞するなど、各方面から評価されています。

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