ごあいさつ
 当館は1986年より、江戸時代からの伝統をもつちりめん細工の復興と伝承に本格的に取り組んできました。その過程で、近年着物用に織られている縮緬が、厚く伸縮性もなく風合いにも欠けるため、ちりめん細工の材料に適していないことに気がつきました。ちりめん細工に古布が好まれるのは、伸縮性があり風合いがあるからです。ところが古布は高価で入手も困難です。そのため、江戸時代から明治時代にかけて織られた、薄くて伸縮性のある二越縮緬を、本場の機屋さんの協力を得て再現しました。昔ながらに織るため一日一反しか織れませんが、伸縮性と風合いに優れ、ちりめん細工の材料として最適です。大きな作品や袋物には、しぼの大きな厚手の縮緬も必要なため、鬼しぼちりめんも作りました。
 ちりめん細工を愛好する皆さんに喜んでいただき、お役にたてば幸いです。
                 日本玩具博物館館長 井上重義
 
☆縮緬は、絹の縮み織物で、経糸に無撚の生糸を用い、緯糸に強い撚りをかけて平織りし、精錬して布の表面に「しぼ」を出します。二越縮緬は左撚りと右撚りの強撚糸を2本ずつ引き揃えたものを交互に織り込むもので、江戸から明治時代に織られた縮緬はこの二越縮緬でした。明治後半を境に姿を消し、今ではほとんど生産されていない貴重な縮緬です。
(サイズはA4版12ページです。)